<<< 2007.07 >>>
☆★☆ 農業集落カードの魅力E ☆★☆
統計利用についてのTipsやお奨めの統計データをご紹介するコーナーです。
今回は、2000年世界農林業センサス・農業集落カードの活用について、農業集落の運営・コミュニティの状況を把握するための項目について見ていきます。
農業集落の運営・コミュニティの状況を把握する項目は、魅力Cでご紹介した農業集落調査の項目の中の以下の7項目があります。
-----農業集落の慣行-----
[01]実行組合の有無
[02]寄り合いの開催回数
[03]寄り合いの議題
[04]農業、生活関連施設等の管理
-----地域環境資源-----
[05]地域・環境の保全(都市的地域を除く)
-----地域の諸組織-----
[06]地域の諸組織(都市的地域を除く)
----交流事業-----
[07]交流事業(都市的地域を除く)
実行組合(名称のいかんを問わず総合的な機能を持つ農業生産者の集団。ただし酪農組合、養蚕組合など農業の一部門だけを担当する団体は含まない)の有無、寄り合い(原則として地域社会または地域の農業生産に関わる事項について農業集落の人達が協議を行うため開く会合。ただし婦人会、子供会、青年団、サークル活動的なものは含まない)の開催回数、寄り合いの議題は前回(1990年)農業集落調査時点でも農業集落カードに収録されていました。1990年と2000年で内容が異なるのは(内容が増えたのは)、寄り合いの議題です。従来からの「土地基盤整備等の補助事業の計画実施」、「水田転作の推進」、「農道農業用排水路の維持管理」に加えて、『農業集落共有財産の利用運営・管理』、『生活関連施設等の整備改善』、『祭り・運動会等の集落行事の計画・推進』、『環境美化・自然環境の保全』、『農業集落内の福祉・厚生』が増えています。ちなみに寄り合い議題の議題欄に記載されている数字は、「1:農家のみ参加」と「2:全世帯参加」の2つのコードです。また農業集落の維持の状況の項目として「農業、生活関連施設等の管理」があります。農業集落を維持するために重要な要素となる農道、用排水路、集落共用の生活関連施設について、農業集落の共同作業がどのうような状況にあるかが把握できます。
この項目の欄の数字は該当していれば数字の1が、非該当であれば空白になっています。 地域環境資源は、2000年から収録されている項目です。対象となっている地域・環境資源は、「棚田・谷地田」、「山林・自然草地」、「ため池・湖沼」、「河川・水路」、「伝統的町並・建築物」、「伝統工芸・芸能・祭り等」の6種類です。収録項目は各対象について、保全の有無、保全が有る場合(保全の根拠、保全主体、保全の目的)です。これにより農業集落別の”多面的機能”の状況が一様に把握できます。この項目の欄の数字は該当していれば数字の1が、非該当であれば空白になっています。ただし都市的地域については把握されていません。
地域の諸組織では、地域活性化のための組織の状況を把握できます。ただし都市的地域については把握されていません。組織の種類は「青年層中心の組織」、「女性中心の組織」、「高齢者中心の組織」、「複数の世代が入り混ざった組織」の4種類です。各組織についての詳細は「農産物の生産、農産加工品の生産、農産物の販売、各種イベントの企画・開催、ボランティア活動、自然動植物の保護、その他」に該当していれば数字の1が、非該当であれば空白になっています。
交流事業(都市的地域は除く)は、「農業集落を含む市町村での都市住民を対象とした交流事業の有無とある場合はその取り組みの内容」挙げています。交流事業の内容は、「農林漁業の体験等を介した交流」、「産地直送を介した交流」、「農山漁村留学受入れ」、「伝統芸能・工芸を介した交流」、「祭り等のイベントを介した交流」で項目欄の数字は「1:農業集落として事業に取り組んでいる」、「2:農業集落として事業に取り組んでいない」の2つのコードです。
これらの項目は「食料・農業・農村基本計画」や「21世紀新農政2007」(下記URL参考)の諸施策の中で重要な要素を成している「農村地域の活性化」と大きく関わっているところです。
今回を含めて計6回にわたって、農業集落の概況を把握する上で重要となる農業集落カードの構成として、「類型区分」、「統計の立体的把握(総数(平均)と階層別の数値)」、「圧倒的な割合を占める農家数の指標」、「集落カード構成別の特徴」、「集落の類型化(詳細)」、「農業集落の運営・コミュニティの状況」を説明してきました。もちろんこれだけで説明できる項目数ではないのですが、農業集落カードの意味とどういった目的と項目で構成されているかは、なんとなくつかんでいただけたかと思います。さて、次回は、先月になりますが、農林水産省統計部がWEB上で公開した「2005年農林業センサス・地域データベース」についてご紹介します。
(参考)
新たな食料・農業・農村基本計画(平成17年3月)
http://www.maff.go.jp/keikaku/20050325/top.htm
21世紀新農政2007(平成19年4月)
http://www.maff.go.jp/shin_nousei/index.html
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