<<< 2007.05 >>>
☆★☆ 農業集落カードの魅力C ☆★☆
統計利用についてのTipsやお奨めの統計データをご紹介するコーナーです。
今回は、2000年世界農林業センサス・農業集落カードを例にしてその構成を見ていくことにします。
農業集落カードはA4判横置きの紙面4面にぎっしりと農業集落に関する詳細なデータが詰め込まれています。内容の構成は大きく分けると、基本指標、農家調査、農業集落調査、分析指標、類型区分の5つのパートから構成されています。
「基本指標」は、対象集落の地域コード、農業地域類型、95との関連、継続の確認、農業集落区分があります。地域コードは都道府県、市町村、旧市町村、農業集落の数字コードからなっており、全部併せると10桁のコードになります。農業地域類型は農政でよく使われる「都市的地域」、「平地農業地域」、「中間農業地域」、「山間農業地域」の4種類があります。「95との関連」は1995年から2000年にかけての集落の統廃合等の変化の分類を英数字2桁で示しています。また「継続の確認」は7桁の数字で1の位から百万の位まで、1桁ずつ1970年、1975年、1980年、1985年、1990年、1995年、2000年を表し、0の場合は調査該当年に農業集落内に農家が存在した、9の場合は存在しなかった場合をそれぞれ表しています。さらに農業集落区分は、2000年現在の農業集落区分で一般農業集落と農家点在地集落の2種類があります。なお農業集落区分が農家点在地の場合、農家点在地は農業集落調査の対象としないことになっていますので、農業集落カードの農業集落調査部分には調査結果が掲載されていません。
「農家調査」は、紙面構成の上ではもっとも大きな領域を占めています。農家調査で掲載されているデータは、以下のとおり統計表名で29表あります。
(01)総農家数等
(02)農業主従別農家数
(03)主副業別農家数
(04)専兼業別農家数
(05)農業労働力保有状態別農家数
(06)経営耕地面積規模別農家数
(07)農家人口
(08)就業状態別世帯員数
(09)農業従事者
(10)農業就業人口
(11)基幹的農業従事者数
(12)農業専従者
(13)兼業従事者
(14)経営耕地
(15)借入耕地
(16)貸付耕地
(17)耕地以外の土地
(18)軍用地内の黙認耕作地(沖縄県のみ)
(19)販売目的で作付した面積
(20)施設園芸
(21)農産物販売金額第1位の部門別農家数
(22)農業経営組織別農家数
(23)販売目的で使用している家畜種類別農家数と頭羽数
(24)馬(北海道のみ)
(25)水稲作(沖縄県はさとうきび作)作業を請負わせた農家数
(26)麦作作業を請負わせた農家数(沖縄県なし)
(27)水稲作(沖縄県はさとうきび作)作業を請負った農家数・面積
(28)麦作作業を請負った農家数・面積(沖縄県なし)
(29)農用機械所有台数(個人+共有)
ただし、以前にも注意したように、たとえば、(17)の販売目的で作付した面積は、品目別ではなく類別の作付面積になります。それは農業集落カードが農業集落の概況をつかむための資料であるためです。
「農業集落調査」は集落の属地的な属性(例:地勢)だけでなく、集落の活性化や環境保全等に関する調査結果も多く収録されています。これも統計表名であげると、以下の23表になります。
[01]最も近いDID旧市町村
[02]法制上の指定地域
[03]自然保護等の指定地域
[04]中心地の標高
[05]地勢
[06]主な形態
[07]集落の戸数
[08]農業集落の面積規模等
[09]耕地面積(属地)
[10]耕地の傾斜度
[11]田の区画整理面積
[12]過去10年間の耕地の変化
[13]ブランド化している農畜産物
[14]耕地の経営形態別面積割合
[15]集団転作の取組
[16]実行組合の有無
[17]寄り合いの開催回数
[18]寄り合いの議題
[19]農業、生活関連施設等の管理
[20]地域・環境の保全(都市的地域を除く)
[21]生活関連施設等までの所要時間(都市的地域を除く)
[22]地域の諸組織(都市的地域を除く)
[23]交流事業(都市的地域を除く)
農業集落調査のデータは実数値もありますが、大部分は規模や時間の分類コードになっています。例えば[21]生活関連施設等までの所要時間(都市的地域を除く)の場合は「1:農業集落内」、「2:15分未満」、「3:15〜30分」、「4:30分〜1時間」、「5:1時間〜1時間半」、「6:1時間半以上」となっています。また都市的地域は掲載がありませんので注意が必要です。農業集落調査の欄が空白の場合は、データの欠落を疑う前に基本指標の部分の農業地域類型区分(都市的地域?)と農業集落区分(農家点在地?)を確認してください。
「分析指標」は以下の16指標が収録されています。
<01>農家数の増減率
<02>経営耕地面積規模別農家数割合
<03>農家人口の年齢別構成比
<04>農業就業人口の年齢別構成比
<05>農家人口増減率
<06>農業就業人口増減率
<07>農業従事者率
<08>男子農業就業人口率
<09>農業就業人口のうち生産年齢人口率
<10>60歳未満男子農業専従者率
<11>農業従事者のうち基幹的農業従事者率
<12>兼業従事者率
<13>経営耕地面積の増減率
<14>借入耕地率
<15>貸付耕地率
<16>耕作放棄地率
分析指標で増減率をみる場合は、基本的に前回年次を基準にした増減率になっていますので、1970年と2000年を比較した増減率を求める場合は、利用者が農家調査のデータを使って計算する必要があります。
最後に「類型区分」で、農業集落に関する主要な13区分が収録されています。
-01-基礎類型
-02-農家率別
-03-販売農家率別
-04-人口動態別
-05-田の区画整理率別
-06-農業集落主位作目別
-07-65歳未満男子農業専従者率別
-08-65歳未満農業専従者がいる農家率別
-09-社会経済的立地別
-10-都市計画区域・農業振興地域別
-11-山村・過疎・特定農山村地域別
-12-集落の管理機能状態別
-13-65歳以上農家人口率別
農業集落を分類するのに便利な区分です。たとえば-13-65歳以上農家人口率別を使えば、高齢化の実態を10%刻みで分類することが簡単にできますし、-04-人口動態別を利用すると農業集落が所在する市町村の人口動向と農業集落内の農家人口の動向を組み合わせて分類することができます。単純にいいきることはできませんが、市町村全体の人口が増加しているのに農業集落の農家人口が減少していれば、都市化がすすんでいる地域ということになります。
さて次回は、農業集落カードの活用として集落の類型化を行う上で重要になる農業集落調査の指標と類型区分についてさらに掘り下げてみようと思います。
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