米政策の転換
−米政策を総括し,民主党「戸別所得補償制度」を考察する−


服部信司 著 

民主党政権の誕生により,所得減少を補填する制度が米価から生産費を基準とする不足払いに政策転換する。この転換に問題や課題はないのか。これまでのコメを巡る諸政策を検証し,「戸別所得補償制度」が日本農業にとって持つ意味を考え,何が米政策に問われているのかを明確にする。

A5判/定価(本体価格1,500円+税)/2009年12月刊

ISBN978-4-541-03666-7


<主要目次>

第T章 コメをめぐる現状とコメ政策の課題
−生産費に基づく不足払いと生産調整・選択制への移行,水田フル活用の継続−
第1節 はじめに:石破前農水相の問題提起から民主党政権の戸別所得補償へ
第2節 コメをめぐる現状と課題
第3節 農業政策(所得保証政策・生産調整政策)と構造変化
−アメリカの経験−
第4節 日本のコメ経営所得安定対策:総括と課題
−生産費を基準にした明確な不足払いに− 
第5節 生産調整:生産費を基準とする不足払いを参加者へのメリットとする選択制に
第6節 生産調整についての選択権は生産・販売を実質的に行っているすべての生産者に
第7節 生産費を基準にした所得安定対策の財政コスト
第8節 減反面積における麦・大豆(転作作物)の生産,それへの支援
第9節 耕作放棄地の有効利用
第10節 必要な「水田有効利用・食料供給力対策」の継続性
第11節 問われるコメ政策のあり方
第12節 民主党政権のコメ戸別所得補償

第U章 コメの生産構造
−構造改革の展望(2002年)・現状・打開方向−
第1節 コメと他の作物の生産構造:大きな違いがある
第2節 コメ政策改革における構造改革展望の提起(2002年11月)
第3節 2007年における「担い手」基準の見直し
第4節 コメ生産構造の現状
第5節 打開に何が必要か
−規模拡大へのインセンティブ(経済的条件)を与える政策設計− 
第V章 コメ経営所得安定対策:総括と課題
−稲作経営安定対策以降の11年間を総括し,生産費を基準とする不足払いに移行する課題を明確にする− 
第1節 稲作経営安定対策の導入(1998年)
第2節 2000年における価格の下落と問われた課題
第3節 米政策改革(2003年8月)
第4節 品目横断的経営安定対策
第5節 2007年12月における修正
第6節 経営所得安定対策への参加状況
第7節 結び:生産費を基準にする不足払いに

第W章 生産調整問題をどう考えるか
第1節 食管法の廃止・食糧法への移行後:生産調整は,原則「選択制」に
第2節 今日への経緯(1) 1966年食糧法後,実際はどうなったのか
第3節 今日への経緯(2) 生産調整研究会の方向付け(2002年11月):生産者主体の需給調整 
第4節 生産者主体の需給調整のはらむ問題点
第5節 2007年秋における問題の発生
第6節 2007年・2008年において何が問われたのか
第7節 生産調整のあり方
第8節 集荷円滑化対策

第X章 民主党の戸別所得補償制度
第1節 総選挙(2009年8月30日)と民主党政権の誕生
第2節 民主党マニフェスト・INDEXの農業政策・戸別所得補償
第3節 戸別所得補償のもちうる意義
第4節 概算要求におけるコメ戸別所得補償制度

第Y章 アメリカにおける不足払い・生産調整と構造変化
第1節 アメリカにおける生産調整・価格支持と不足払いの成立・展開
第2節 生産調整・不足払いと構造変化

第Z章 WTO農業交渉グループ議長・第4次提案に基づくコメ国境措置の予測
第1節 農業交渉グループ議長・第4次提案:関税削減率とミニマム・アクセス拡大幅
第2節 議長第4次提案に基づくコメ関税額とコメ予測輸入価格
第3節 議長第4次提案に基づくミニマム・アクセス拡大幅とコメ輸入予測量

第[章 日米FTA問題
第1節 問題の浮上と落着
第2節 残る火種:FTAへの過大評価,東アジア共同体とのバランス論
第3節 現実の日米経済関係
第4節 日米FTAの位置
第5節 必要な経済外交(WTO・FTA交渉対応)の継続性

   

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